近所のダイエーがイオンに変わって何年経っただろう。久しぶりに元ダイエーに行くと、中身はほとんど変わらず、ダイエーの雰囲気が漂っていた。いつから入っているのかわからないほどずっとありそうな婦人服の店、テナントが何回も変わって、最終的にはリサイクルショップになってしまっただだっ広い売り場、かつてのアーケードゲームがそのまま残されるゲームセンター。ほとんどの店は変わってしまったが、その雰囲気は私の知るダイエーだった。パッとしないが、どこにも見ないような店があるショッピング施設だった。週末にもかかわらず、人はまばらで心配になるほどだった。駅前にある立地はいつ再開発されてもおかしくない。

新浦安駅にあるイオンも、元ダイエーだ。名称は、ショッパーズプラザ。ダイエーの商業施設として、立派な名前を付けられたそこは、やはり2010年代にイオンに変わった。内部はリニューアルされたそうだが、構造自体は変わらず、その建物はイオンモールらしからぬ造形をしている。中に入ってみると、最上階までの吹き抜けの、みごとなアトリウム。羊羹のような形にびっしりと店を詰め込んだ、現代のイオンモールとは対極的な、この無駄な空間づくりには惚れ惚れとした。近所のダイエーとは異なり、ここのテナントはすっかり一掃されて均質的な店が並んでいたが、建物がダイエーである限り、イオンでは打ち消せない強烈な雰囲気が醸し出されている。それは、消費が他者との差別化に使われるほど余裕のあった時代の雰囲気だ。

私が住む街には巨大なイオンのショッピングモールがあり、そこは開業から十年以上経つが、いまだに週末は混雑している。この街で暮らすなら、この日本一の巨大モールに行くのですべてが事足りてしまう。2000年代にできたそこは、ひたすら巨大に消費を促す施設でしかなく、今日にいたるまで、家族をなんとなく満足させている。どこにでもあるような店がずらりと、しかも大体セールを行い、郊外の生活を彩っている。モールは巨大なだけでユニークな点はなく、縦方向に長いから移動も大変だ。なのに、(だからこそ!)まだまだ混雑している。

栄華を築いたダイエーが一斉にイオンに変わってしまったかの ように、いつかイオンも消滅してしまうのだろうか?この巨大モールが名称を変え、中身を変え、新たなものになるとは想像しがたい。壁面緑化が施されたモールは、いつかその役目を終え、緑に還っていく。ここはレイクタウンという名前なのだから、湖に沈んでいくのでもいい。 それを想像するたびに思い浮かぶのは、ココナッツモールという架空のショッピングモールである。ココナッツモールは商業施設の役目を終え、カーレースに使われている。商品がほとんどなく、もちろん客もいない。ゲームのキャラクターが何周も永遠に回り続けるそこは、名前にふさわしく、ヤシの木がたくさん植わっているモールだ。

レイクタウンと名付けられたショッピングモールのすぐそばには、同時期につくられた調整池がある。そこになぜか浮かんでいる一本のヤシの木。ひとりでココナッツモールの到来を待っているようだった。

戻る